湿り気を帯びた草いきれの中で、少年・湊は死者と語らう力を持つ少女・灯に出会う。山奥の廃村を舞台に、夏の間だけ顕現する蛍の光が、二人の運命を交錯させる。生と死の境界が曖昧になる季節、湊は灯が抱える「消えない後悔」に触れ、やがて来る秋の訪れと共に失われる約束を背負う。少年少女の静かな狂気と、終わらない夏が織りなす切実な情動。この一冊には、魂を焼き尽くすような鮮烈な夏景色が刻まれている。